大津市歴史博物館

博物館の活動紹介

第28回 博物館の新収蔵品について(平成19年度分)

 博物館では、散逸しがちな地域の史料や文化財を積極的に収集・保存しています。今回は、平成19年度の新収蔵品を紹介します。



比良焼麦絵茶碗  1客 (購入)

比良焼は比良山麓で焼かれ、「比良」の刻印が押されるものが多い。また作品としては茶器が多く、本作品も、京焼風の端正なロクロ仕上げに鉄釉が施された名品。

比良焼麦絵茶碗
比良焼麦絵茶碗剛


木造大津絵鬼念仏立像  1躯 (購入)

 鬼念仏は大津絵を代表する画題であり、江戸時代の大津絵を販売する商店の看板も、鬼念仏を描いた看板が多かった。本作は立体の彫刻で、類例が非常に少ないが、看板的な展示が当時から行われていたものと考えられる。

木造大津絵鬼念仏立像
木造大津絵鬼念仏立像


野路玉川図  紀楳亭筆 木村騏道賛  1幅 (購入)

 紀楳亭(九老、1734〜1810)は大津で活躍した画家。本作は、享和2年(1802)と、描かれた時期も明記されるなど、他の紀楳亭作品と比較するときの基準作品となり貴重である。画題も、草津の東海道沿いの名所である野路玉川であり、賛文は大津袋町の町人木村騏道。

蜀棧道図  紀楳亭筆  1幅 (購入)

 同じく紀楳亭の作品。図柄は、急峻な断崖をクローズアップし、崖に設けられた心もとない桟道を行く人馬の姿が描かれている。

野路玉川図 蜀桟道図
野路玉川図 蜀桟道図


琵琶湖産商工産品録  1冊 (柳森安治氏寄贈)

 明治17年(1884)発行。大津の商店や旅館、料理店の店先風景等を描いたもので、当時の商店名や所在地、店舗の規模と来客風景などが銅版画で描かれている。収録店舗は68箇所。  

琵琶湖産商工産品録
琵琶湖産商工産品録


紋帳早引大全  1冊 (柳森安治氏寄贈)

 江戸時代後期の出版。当時町人たちは大名の名前の区別が付けられるよう、家紋を集めた冊子を携帯していた。同種のものは数多く出版されていたが、この「紋帳早引大全」もその一種。

紋帳早引大全
紋帳早引大全


天虎飛行研究所写真アルバム  2冊 (佐藤生寿氏寄贈) 

 昭和10年(1935)から終戦の同20年まで、大津市馬場の地先に設立されていた民間の飛行研究所(水上飛行機)。後には軍の管轄となり、多くの飛行兵の訓練が行われた。寄贈者は同研究所の出身者で、訓練風景写真などが2冊のアルバムに134枚も収められている。

天虎飛行研究所写真アルバム
天虎飛行研究所写真アルバム


田中宗太郎大津城等研究資料  21点 (田中弘子氏寄贈)

 田中宗太郎氏(1894〜1970)は戦前、地元の郷土史家として活躍され、特に戦国時代、浜大津にあった大津城の研究に貴重な業績を残された。これらの成果については、先の企画展「戦国の大津」でも展示したが、現在では確認することができない石垣の位置なども分かり、貴重な資料である。

田中宗太郎大津城等研究資料
田中宗太郎大津城等研究資料


大津陸軍少年飛行兵学校関係資料  10点 (大槻秋男氏寄贈)

 昭和18年(1943)、大津市別所の地に正式に発足した少年飛行兵学校の関係資料。出身者からのご寄贈で、校歌や当時校内で使用された鉛筆、同校の記章などからなる。

大津陸軍少年飛行兵学校関係資料
大津陸軍少年飛行兵学校関係資料


陸軍歩兵第九連隊関係資料  7点 (青木巖氏寄贈)

 明治8年(1875)大津市別所の地に設立された陸軍歩兵第九連隊の関係資料。満州事変からの凱旋や除隊、連隊解隊時に各々記念として配られた蒔絵の折敷や徳利、猪口など。

陸軍歩兵第九連隊関係資料
陸軍歩兵第九連隊関係資料


近江八景絵葉書  61枚 (青木巖氏寄贈) 

 明治から昭和にかけての近江八景絵葉書。いずれの絵葉書にも、今では見られなくなった、のどかな風景写真が使用されており、大津市の景観の変遷をたどるうえでも貴重な資料である。

近江八景絵葉書
近江八景絵葉書


近江八景蒔絵折敷  3点 (青木巖氏寄贈)

 近江八景のうち、堅田落雁と瀬田夕照を描いた蒔絵折敷である。制作は明治期。近江八景は、本市の歴史の一大特徴であり、様々な展示に活用できるもの。

近江八景蒔絵折敷
近江八景蒔絵折敷


大津絵絵葉書  10枚 (青木巖氏寄贈)

 明治から大正にかけて活躍した日本画家鈴木松年(1848〜1918)の図柄になる大津絵十種絵葉書。いずれも力強い図柄で、江戸時代の大津絵の、明治における変化などが分かる。

大津絵絵葉書
大津絵絵葉書