大津市歴史博物館

お知らせ

天台宗開宗1200年記念 企画展
回峰行と聖地葛川 -比叡山 明王院の名宝-
平成16年10月6日〜11月14日

概要

 大津市北部、比良山系の西に位置する葛川(かつらがわ)は、比叡山回峰行(かいほうぎょう)の聖地として、その歴史を重ねてきました。回峰行をはじめたとされる相応和尚(そうおうかしょう・831〜918)は、生身の不動明王を感得するため、葛川に分け入り厳しい修行の末、ついに三ノ滝で不動明王にまみえたと伝えられています。この厳しい修行の伝統は、天台宗の僧侶によって毎夏行われる葛川参籠(夏安居・げあんご)に伝えられており、明王院にはその信仰に由来する多くの文化財が残されています。また、葛川の豊かな山林資源をめぐって中世以来、周辺の村々と重ねられてきた相論(そうろん)や葛川の状況を伝える膨大な記録も明王院に残されており、日本中世史の貴重な史料群となっています。
 本展では、葛川明王院と深く係わる比叡山回峰行の伝統を紹介するとともに、聖地であるからこそ伝えられてきた明王院所蔵の文化財の数々、そして葛川明王院文書などにより、葛川がたどってきた歴史の一端を紹介します。

.相応・明王院・回峰行
@比良修験(ひらしゅげん)の伝統
 湖西にそびえ立つ比良山系は、古来より山岳信仰の修行地として注目されていました。ここでは、比良山系の麓に伝わる仏像などを展示します。

A相応伝
 円仁の弟子である相応は、北嶺回峰行の祖として

行門で重要視されてきました。

   ここでは、相応の肖像画や伝記などを紹介します。

  写真左:重要文化財 絹本著色相応和尚像
                 鎌倉時代 延暦寺蔵

B相応ゆかりの地の文化財
 相応には、葛川三の滝での不動明王感得後、桂の木から明王院・比叡山無道寺明王堂・伊崎寺(近江八幡市)に3体の不動明王を刻んだといわれています。これら相応の足跡を伝える寺院に伝わる仏教美術や史料などを紹介します。

  写真右:木造毘沙門天立像 平安時代 明王院蔵

C葛川明王院と葛川参籠
 明王院で現在も行なわれている参籠(夏安居)や太鼓廻しに関する史料のほか、参籠札(さんろうふだ)・懸仏(かけぼとけ)・聖教(しょうぎょう)などを紹介します。

重要文化財 葛川明王院 参籠札
 室町時代 明王院蔵
(青蓮院門主慈道・足利義尚・日野富子)

「太鼓廻し」で太鼓から飛び降りる行者

D北嶺回峯行
 比叡山内を約30キロ踏破する回峰行。中でも「千日回峰行」は、比叡山でも最も過酷な行の1つとして有名です。ここでは、謎の多い回峰行に関する史料を展示するとともに、現在行なわれている行の様子を写真パネル等で紹介します。
2.葛川明王院の世界

 明王院に伝来する相論や、葛川の状況を伝える膨大な古文書と絵画を紹介します。

葛川古参詣絵図 室町時代 明王院蔵

企画展インフォメーション

観覧料 一般600円(480円)、高大生500円(400円)、小中生400円(320円)
※( )内は団体・前売料金。市内在住の65歳以上の方・障害者の方は無料
会場 常設展示室1F ミニ企画展コーナー
主催 大津市・大津市教育委員会・大津市歴史博物館
文化庁・延暦寺・朝日新聞社
期間中の休館日 10月12・18・25日、11月1・4・8日