大津市歴史博物館

お知らせ

企画展
近江の国府と郡衙 −発掘された古代の役所−
平成17年2月26日(土)から4月17日(日)

概要

古代、中央政府は全国を六〇余の国・島に分け、その下に郡・郷(里)を置いて地方を治めました。そして、各国には国府を、郡には郡衙の各役所が設けられたと考えられています。また、道の整備を行い、駅を設置し交通の便を図りました。近江国は国内を東山道・東海道・北陸道のそれぞれの道が通り、また三関といわれる愛発関・不破関・鈴鹿関のすべてに関わるなど中央政府にとって重要な国でした。
そこで、今回の企画展では、近江国府や各郡の郡衙と考えられる遺跡について考古学による成果を紹介します。ここでは、墨書土器や硯類といった文字に関係する遺物など一般集落とは異なる特殊な遺物について展示します。また、国府・郡衙以外の官衙遺跡(駅家・郷倉など)についても最新情報を紹介します。

.近江国府成立前史
近江国府が置かれた瀬田丘陵一帯の国府以前の遺跡から、国府成立直前の歴史を紹介します。野畑遺跡では古墳時代の物と考えられる須恵器のほか、フイゴの羽口なども見つかっています。

野畑遺跡出土 フイゴ羽口等
 滋賀県教育委員会蔵

2.近江国府の成立と展開
 近江国庁は昭和三〇年代末から発掘調査が行なわれ、史蹟整備に並行して発掘調査が続けられています。ここでは、近江国庁の最近の調査で見つかった遺物や遺構の状況を中心に国庁のようすについて紹介します。あわせて、国庁に伴う倉庫群と考えられる惣山遺跡や、勢多駅跡と考えられる堂ノ上遺跡、近江国分寺跡と見られる瀬田廃寺など、周辺の国府にかかわる遺跡からの出土遺物等も紹介します。
※国庁は、地方政治を行なう場、国府は、国庁・周辺の施設・役人の家・市場などを含めた範囲をさします。

近江国府跡出土 鬼瓦
滋賀県教育委員会蔵

近江国府跡出土 「厨」墨書土器
滋賀県教育委員会蔵

3.近江の郡衙

 近江国内は十二の郡に分けられ、各郡に郡衙が置かれていたと考えられています。今回は、栗太郡衙と考えられる岡遺跡・手原遺跡、高島郡衙と考えられている日置前遺跡・鴨遺跡などを中心に、郡衙の様子を紹介します。

御倉遺跡出土 「郡家・有」墨書土器
 滋賀県教育委員会蔵

鴨遺跡出土 緑釉陶器
高島歴史民俗資料館蔵

4.その他の官衙遺跡

 各郡内では、郡衙と考えられる遺跡のほかにも官衙と考えられるような遺構・遺物をもつ遺跡が見つかっています。これらについては、在地の有力者の邸宅跡や、あるいは郡より小さい地域単位である郷の役所などいくつか説があります。ここでは草津市の大将軍遺跡でみつかった墨書土器、矢倉口遺跡の出土品を通して、遺跡の性格や、また役人の生活なども紹介します。

大将軍遺跡出土 「税」墨書土器
 草津市教育委員会蔵

大将軍遺跡出土 「高野郷長」墨書土器
草津市教育委員会蔵

5.都と近江
 各地の郡衙、近江国府に集められた米や特産物などの税は都へと運ばれました。ここでは、平城宮や長岡京で出土した各種荷物に付けられたと考えられる木簡(荷札木簡)のうち近江の地名が書かれたものを展示します。実際に近江から都への物資の動きを見ることができる重要な資料です。また、紫香楽宮で出土した日本各地の地名・特産物の書かれた木簡からは、都に全国から物が集まっていたことが分かります。このような文字資料から当時の人と物の流れを紹介します。
 この他、最近見つかった、膳所城下町遺跡(禾津頓宮)や関津遺跡(田上山作所か)など、近江で見られる都と関連する施設についても紹介します。


休館日 
2月28、3月7・14・22・28日、4月4・11日

観覧料
  一般400円(320円)、高大生300円(240円)、小中生200円(160円)。
       ( )内は前売り券、15名以上の団体、市内在住の65歳以上の方・障害者の方
       の割引料金(二割)

主 催
  大津市・大津市教育委員会・大津市歴史博物館
  京都新聞社