■概 要■ はるかに広がる湖水を舞台に、変化に富んだ四季折々の姿をみせる琵琶湖。その日本最大の湖は中国の洞庭湖に見立てられ、水墨画の好画題・瀟湘八景を本歌とした近江八景が選定されました。そして、江戸時代には、日本を代表する名勝として、近江八景は、屏風・絵巻・浮世絵版画・工芸等に盛んに描かれるようになります。 |
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その広がりは、今日の我々が想像する以上に多彩でした。王朝趣味あふれる雅な大和絵・蒔絵の八景に都人は詩情を寄せ、賑やかな名所風俗を描いた屏風に町衆は行楽地の華やかさを満喫し、抒情性あふれる広重の浮世絵版画に旅人は旅情を誘われたことでしょう。 本展では、近世・近代の絵画・工芸作品にみる近江八景を紹介するとともに、雪月花をはじめとした日本人の情趣が盛り込まれた近江八景にもスポットをあてます。四季の風情あふれる日本画作品を八景作品に添えることによって、日本人になじみの深い情景が凝縮された近江八景の風光が浮かび上がってくることでしょう。 17世紀の土佐派・狩野派の屏風・絵巻から幕末の歌川広重の浮世絵版画、そして20世紀の伊東深水にいたる60件あまり、100点以上の作品によって、湖国の風光・日本の情景を辿ります。 |
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◆屏風に描かれた近江八景‐名所風俗の賑わい‐◆ |
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◆絵巻に描かれた近江八景‐和歌と大和絵‐◆ | |||||
近江八景にみる名所と情景の取り合わせを完成させたのは、五摂家の公家・近衛信尹(一五六五〜一六一四)とされています。そのケースに象徴されるように、八景は漢詩や和歌のテーマとして、教養ある人々の階層において愛着を持たれた文芸世界の名所テーマでした。本コーナーでは、文芸サロンを形成した公家たちが近江八景の和歌を寄せた絵巻の世界をご覧いただきます。 | |||||
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◆八景を巡る◆ | |||||
華やかな屏風や雅な絵巻など、富裕層に鑑賞されてきた近江八景の絵画世界も、一八世紀の半ば以降、状況が変化します。庶民の間に旅行や物見遊山などの行楽が定着するのに伴い、『名所図会』と呼ばれる旅行メディアも飛躍的に発達します。そのなかで、近江八景も実際に訪れる観光名所として大衆の間に広まり、浮世絵版画に盛んに描かれました。本コーナーでは各八景ごとに作品を集め、素朴な描写、異国的な表現、そして臨場感あふれる広重作品や近代の詩情に満ちた伊東深水へと、時代とともに進化する名所絵表現を辿ってみます。 |
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◆休館日◆月曜日 ◆観覧料◆ ◆主 催◆ 大津市・大津市教育委員会・大津市歴史博物館・京都新聞社 |