古代、中央政府は全国を六〇余の国・島に分け、その下に郡・郷(里)を置いて地方を治めました。そして、各国には国府を、郡には郡衙の各役所が設けられたと考えられています。また、道の整備を行い、駅を設置し交通の便を図りました。近江国は国内を東山道・東海道・北陸道のそれぞれの道が通り、また三関といわれる愛発関・不破関・鈴鹿関のすべてに関わるなど中央政府にとって重要な国でした。
そこで、今回の企画展では、近江国府や各郡の郡衙と考えられる遺跡について考古学による成果を紹介します。ここでは、墨書土器や硯類といった文字に関係する遺物など一般集落とは異なる特殊な遺物について展示します。また、国府・郡衙以外の官衙遺跡(駅家・郷倉など)についても最新情報を紹介します。
近江国府が置かれた瀬田丘陵一帯の国府以前の遺跡から、国府成立直前の歴史を紹介します。野畑遺跡では古墳時代の物と考えられる須恵器のほか、フイゴの羽口なども見つかっています。 |
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近江国府跡出土 鬼瓦 |
近江国府跡出土 「厨」墨書土器 |
3.近江の郡衙
御倉遺跡出土 「郡家・有」墨書土器 |
鴨遺跡出土 緑釉陶器 |
4.その他の官衙遺跡
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各地の郡衙、近江国府に集められた米や特産物などの税は都へと運ばれました。ここでは、平城宮や長岡京で出土した各種荷物に付けられたと考えられる木簡(荷札木簡)のうち近江の地名が書かれたものを展示します。実際に近江から都への物資の動きを見ることができる重要な資料です。また、紫香楽宮で出土した日本各地の地名・特産物の書かれた木簡からは、都に全国から物が集まっていたことが分かります。このような文字資料から当時の人と物の流れを紹介します。 この他、最近見つかった、膳所城下町遺跡(禾津頓宮)や関津遺跡(田上山作所か)など、近江で見られる都と関連する施設についても紹介します。 |
◆休館日◆ 2月28、3月7・14・22・28日、4月4・11日
◆観覧料◆
一般400円(320円)、高大生300円(240円)、小中生200円(160円)。
( )内は前売り券、15名以上の団体、市内在住の65歳以上の方・障害者の方
の割引料金(二割)
◆主 催◆
大津市・大津市教育委員会・大津市歴史博物館
京都新聞社