大津市歴史博物館

博物館の活動紹介

第13回 博物館の新収蔵品について(平成17年度2期分)

 博物館では、散逸しがちな地域の史料や文化財を積極的に収集・保存しています。今回は、平成17年度第2期の新収蔵品を紹介します。



近江八景絵葉書 一括 明治〜昭和 (寄贈)

 明治から昭和までの、近江八景を題材としたさまざまな種類の絵葉書コレクション。八景絵葉書の袋入り8枚揃いが多く、貴重なコレクションである。袋のデザインもそれぞれに意匠が凝らされている。今回寄贈を受けた絵葉書は約1000点におよび、絵葉書の時代判定や、市内の風景の変遷を知る古写真データとしても活用できる。

近江八景絵葉書
近江八景絵葉書


蒸気船一番丸模型 付:丸子船模型 2艘 平成 (寄贈)

 一番丸は、琵琶湖に初めて就航した木造蒸気船。明治元年(1868)12月3日に起工し、4ヶ月で完成した。加賀大聖寺藩を脱藩した石川嶂が大津百艘船仲間の一庭啓二とはかり、長崎で英国人より仕入れた陸上蒸気機関を利用し、大津川口町の大聖寺藩御用場(大津造船所)で建造したもの。上等客は汽船に、下等客と荷物は汽船が曳航する丸子船に乗せた。昨年寄贈者から、新たに製作し寄贈の申し出を受けたもので、同型のものは石川県立歴史博物館にも展示されている。

蒸気船一番丸模型
蒸気船一番丸模型


大津算盤 1挺 江戸 (寄贈)

 大津算盤は、江戸時代初期の慶長17年(1612)、大津一里塚前の片岡庄兵衛が創始したと伝えられている。今回の算盤は表面位とりの部分が数字だけではなく、町・反・畝や石・斗・升などさまざまな単位で記されている。枠の内側には「大津追分一里塚前庄兵衛」と記した紙片が貼付られているが、片岡家は代々「庄兵衛」の名を襲名しており、算盤の形式から判断して、江戸末期から明治にかけて活躍した人物と考えられる。。

大津算盤
大津算盤


金属玩具 小菅のジープ 1点 昭和 (寄贈)

 戦後第1号のブリキのおもちゃである通称「小菅のジープ」。東京から疎開で大津にやってきた「小菅松蔵」は、大津市内の工場においてブリキのジープ玩具を製造(材料は、当時大津に駐留していた占領軍から放出された空き缶などを伸ばしたものを使用した。昭和20年12月に京都の丸物百貨店で販売したところ爆発的な売れ行きを見せ、その後の金属玩具業界復興のきっかけとなったといわれている。 本資料は、金属玩具の歴史を語る上で必ず登場するものであり、また大津との関わりが非常に深い資料である。

小菅のジープ
小菅のジープ


谷本勇撮影写真資料 一括 昭和 (寄贈)

 市内の写真家である谷本勇氏が昭和20年代後半から撮り続けてきた写真資料(ファイル約200冊・約1万5000コマ)。氏は、家業として写真撮影業を営むとともに、写真家として県内の写真を数多く撮影している。写真の内容は、大津の市街地を中心に風景や生活の様子など多岐にわたり、仕事として撮影した市内の建物の竣工写真も含まれている。昭和30年代から50年代の写真が中心であり、大津の町の移り変わりがよく分かる資料といえる。写真はネガ・ベタともに保存され、またそのほとんどに撮影年月日が記録されていることから、撮影年代の判る写真資料として貴重である。

谷本勇撮影写真資料 谷本勇撮影写真資料
谷本勇撮影写真資料


櫓 1挺 昭和 (寄贈)

 下阪本村で使用されたもの。湖岸農村であることから、日常生活で船を利用し、物資の運搬や農業、漁業にも利用された。。

櫓


漁具モンドリ 1点 昭和 (寄贈)

 同じく、下阪本村で使用されたもの。産卵のためヨシ群落に寄ってきた魚を捕獲する道具で、このモンドリはやや大型の魚を獲るのに用いられた。

漁具モンドリ
漁具モンドリ